ny問題

 新聞によれば学内に調査委員会が設置されたらしい。つまりは大学としてこの
件に関してなんらかの見解が出されるということだ。


 何故彼(だけ)が逮捕されたのか。それについては既にあちこちで憶測が
流れているが、いずれにせよ「幇助」の疑いで逮捕されたのだからそれに対する
正犯、つまりwinnyの利用についても立件されなければならない。それは
京都府警の人間のことであるのは言わずもがなである。


 もちろん、京都府警の人間を逮捕したからといって金子氏の逮捕が正当化
されるわけではない。
 著作権物の違法な流通を目的としてwinnyを作ったからというのが逮捕の
理由らしいが、それならば、例えばスタンガンの製造・販売を取り締まらない
のは何故か。この機械は人を傷つけることだけが目的である。現にスタンガンを
使った犯罪は起こっている。
 金子氏が挑発的な発言を行ったからという理由も府警から出ているようだが、
日本国憲法には、

第38条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

という条文がある。「幇助」であるとする唯一の証拠が金子氏の発言だけならば、
第3項に従い無罪もしくは罪を問われない。これを適用するためにはwinny自体の
合法性を証明しなければならないが、これについては私が述べるまでもない。


 実は京都府警は既に作戦に失敗しているという事情がある。
 金子氏が逮捕された日、民主党管直人代表が辞任したため、世間の関心は
ほとんどそっちに向いてしまった。夕刊紙の一部では1面で取り上げたようだが、
翌日の朝刊では扱いが小さくなってしまった。府警としては金子氏の逮捕により
京都府警が著作権の違法な流通の摘発に力を入れているところを全国的に
アピールするまたとないチャンスであったはずである。だが、今盛り上がって
いるのはネットワークコミュニティーの中だけで、府警のもくろみは見事に
外れてしまった。
 例えるならB級アイドルのシングル発売日がミリオンヒットのアーティストの
CD発売日とぶつかってしまったという感じだろうか。


 警察はこういった捜査を行うときにはマスコミで取り上げられるように
家宅捜索の着手日(時間)を操作する。そして自分たちの活躍(?)が載った
新聞やテレビを見て自己満足に浸る。
 しかし今回はいきなりその頭で躓き、捜査員たちは意欲が半減していると
思われる。しかも府警内部での犯罪行為がクローズアップされ、逆に
追い込まれてさえいるかもしれない。こうなるとネットワークコミュニティー
情報収集能力の高さと警察権力に対する積年の恨み(笑)が際立ってくる。
過去、京都府警(関係者)が犯した犯罪や不当逮捕など、どんどんボロが
出てきており、これらの中には万が一金子氏が起訴された場合の弁護側の証拠に
なりそうなものも含まれている。


 今後のストーリーとして考えられるものは2つある。一方は書類送検されて
起訴、もう一方は嫌疑不十分で釈放である。後者の場合、前述したとおり
逮捕したことをマスコミが報道して注目を集めることが最大の目的なので、
それが成し得なかった上、下手に裁判になれば京都府警の捜査資料流失に
ついても注目され、身内の逮捕にも繋がりかねないのでそれを回避したいという
思惑が働いたことになる。


 今日流れているニュースではwinnyの解説サイトを立ち上げた人も家宅捜索
されたようだが、これを見る限りでは手当たり次第状況証拠を集めようと必死に
なっていることが伺える。
 ふと思いついたんだが、もしwinnyの解説サイトが数千もあったらどうなる
だろうか。全部の管理人を家宅捜索するんだろうか。